Let’s Encryptと有料SSL証明書の違い|企業はどちらを選ぶべき?

※この記事には、筆者が業務で関わっているSSL証明書販売サイト「SSL.jp」のご案内を含みます(詳しくは記事末尾の「この記事を書いた人」をご覧ください)。

「SSL証明書は無料のLet’s Encryptで十分?それとも有料のものを使うべき?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。この記事では、Let’s Encryptと有料SSL証明書の違いを分かりやすく整理し、企業サイトではどちらを選べばよいかの判断ポイントをご紹介します。

この記事のポイント

  • 通信を暗号化する強さは、無料でも有料でも基本的に同じ
  • 違いは「認証の種類」「更新の手間」「サポート」などの運用面
  • どちらが正解ではなく、サイトの目的と管理体制で選ぶのが大切

Let’s Encryptとは?

Let’s Encrypt(レッツ・エンクリプト)は、アメリカの非営利団体が運営する、無料でSSL証明書を発行している認証局です。多くのレンタルサーバーで「無料SSL」として採用されており、管理画面からボタン一つで設定できるサービスも増えています。

用語メモ:認証局(にんしょうきょく)とは?
SSL証明書を発行する機関のことです。ブラウザ(ChromeやSafariなど)に信頼された認証局が発行した証明書だけが、「安全なサイト」として表示されます。

Let’s Encryptの証明書は、現在の有効期間が90日です。短い期間で自動更新することを前提に作られています。

Let’s Encryptと有料SSL証明書の違い

まず知っておきたいこと
通信を暗号化する強さは、Let’s Encryptでも有料証明書でも基本的に変わりません。「無料だから危ない」ということはありません。違いが出るのは、主に次の比較表のような部分です。
比較項目Let’s Encrypt有料SSL証明書
費用無料年間数百円〜数万円(種類による)
暗号化の強さ基本的に同じ
認証の種類ドメイン認証(DV)のみドメイン認証(DV)・組織認証(OV)などから選べる
会社の実在証明できない組織認証(OV)なら、証明書に会社名が記載される
有効期間90日(今後さらに短縮予定)最大200日(2026年3月から)
※今後さらに短縮予定
更新方法自動更新が前提手動更新と自動更新(ACME)から選べるものが多い
サポート利用者同士のコミュニティが中心販売店・認証局による日本語サポートがある

1. 認証の種類の違い

Let’s Encryptは、「そのドメインの持ち主かどうか」だけを確認するドメイン認証(DV)のみに対応しています。

一方、有料証明書には組織認証(OV)があり、運営する会社・団体が実在するかを登記情報などで審査します。証明書の中に会社名が記載されるため、「このサイトは確かにこの会社が運営している」ことを示せます。

2. 更新の手間と期限切れのリスク

Let’s Encryptは、2027年2月にデフォルトの有効期間を64日、2028年2月には45日へ短縮する予定を発表しています。更新の回数がどんどん増えるため、自動更新がきちんと動いていることが欠かせません。

また、Let’s Encryptは2025年6月に、期限切れが近いことを知らせるメールの送信を終了しました。自動更新が何らかの理由で止まってしまうと、気づかないうちに証明書が切れ、サイトに警告が表示されてしまうおそれがあります。

※有料証明書も、業界全体のルールにより有効期間は段階的に短くなっています(2027年に100日、2029年に47日の予定)。無料・有料を問わず、更新の仕組みづくりが大切になっています。

3. 困ったときのサポート

Let’s Encryptは無料で提供されている分、個別のサポート窓口はありません。トラブル時は、利用者同士のフォーラムやレンタルサーバー会社のサポートを頼ることになります。

有料証明書は、販売店や認証局による日本語サポートを受けられるため、社内に詳しい担当者がいない場合でも相談しやすいのが特徴です。

企業はどちらを選ぶべき?

どちらが正解ということはなく、サイトの目的と管理体制によって選ぶのが基本です。次のチェックリストを参考にしてみてください。

Let’s Encryptが向いているケース

  • レンタルサーバーの無料SSLで自動更新が設定されている
  • 情報発信が中心の小規模なサイト
  • キャンペーンサイトなど期間限定のサイト
  • 費用をできるだけ抑えたい

有料SSL証明書が向いているケース

  • 会社の実在性を示したい(コーポレートサイト、ECサイトなど)
  • 取引先や社内規定で、組織認証の証明書が求められている
  • トラブル時に日本語で相談できる窓口がほしい
  • サーバーの都合でLet’s Encryptが使えない・自動更新が設定できない

また、「有料証明書でも、更新は自動にしたい」という選択肢もあります。最近は、有料証明書でも自動更新(ACME)に対応したプランが増えています。

用語メモ:ACME(アクメ)とは?
SSL証明書の更新を自動で行うための仕組みです。Let’s Encryptもこの仕組みで自動更新しています。一度サーバーに設定しておけば、期限が近づくたびに新しい証明書へ自動で切り替わります。

筆者のおすすめ

JPRS ドメイン認証型(ACME版)

「.jp」ドメインを管理する株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が発行する、自動更新対応のSSL証明書です。「無料SSLの自動更新の手軽さ」と「有料証明書の安心感」の中間のような選択肢です。

  • 年額4,400円(税込)で、88日ごとに自動更新
  • 日本の組織が運営する認証局の証明書
  • 1枚で「example.jp」と「www.example.jp」の両方に使える
  • 販売店による日本語サポートあり

※ACME版はドメイン認証(DV)のみの対応です。会社の実在性を示したい場合は、組織認証(OV)の証明書をご検討ください。また、ご利用のサーバーがACMEに対応している必要があります。

まとめ

Let’s Encryptと有料SSL証明書は、暗号化の強さではなく、「認証の種類」「更新の手間」「サポート」に違いがあります。

  • 小規模なサイトで、自動更新がきちんと動いているならLet’s Encryptでも十分
  • 会社の実在性を示したい、サポートがほしい場合は有料証明書が安心
  • 無料・有料を問わず、有効期間の短縮に向けて「自動更新」と「期限の確認」が大切

ご自身のサイトの目的と、誰がどのように管理するかを考えて選んでみてください。

有料SSL証明書の種類や価格を比較したい方は、
8ブランドを扱うSSL.jpもご参考ください。

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この記事を書いた人:本山 憲治

SSL.jpとの関係について
筆者は、株式会社21companyが運営するSSL証明書販売サイト「SSL.jp」の申請受付業務に携わっています。本記事内のSSL.jpへのリンクは、この関係にもとづくご案内です。記事の内容は、公表されている情報と実務経験をもとに、特定の認証局の評価を目的とせず作成しています。

参考情報(2026年10月20日時点)

  • Let’s Encrypt「Decreasing Certificate Lifetimes to 45 Days」(2025年12月)
  • Let’s Encrypt「Ending Support for Expiration Notification Emails」(2025年1月)
  • SSL.jp「2026年の証明書有効期間短縮とACME」